自動車部品へのマグネシウム合金の採用は、その膨大な市場規模や、市場
安定性からみて、今後のマグネシウム需要拡大を牽引する最大の産業分野です。地球環境問題、省資源、省エネルギー問題への対応が最重要課題となる時代を迎え、今、自動車メーカー各社では、車体の軽量化、リサイクルの推進のために、マグネシウムをはじめとする軽量材料への置換、および最適設計による部品の統合等が本格化する兆しを見せています。

 


欧米におけるマグネシウム合金需要の進展は、燃費向上を指向した車体の軽量化ニーズが原動力となっています。たとえば、米国自動車工業界のいわゆるビッグスリー(Ford.GM.Chrysler)が協力して自動車へのマグネシウム合金の採用を推進。大型のインスツルメントパネルを一体ものとしてマグネシウム合金ダイカストで作製したり、筐体、ブラケット、シンダーヘッドなどへ積極的に導入しています。また、ドイツのメーカーでは、筐体類のほかに新しい応用としてドアー内部構造へのマグネシウム合金の採用を始めています。

一方、日本ではエアバッグ装着の普及に伴うステアリング部の重量増加を、ホイール芯金をマグネシウム化することにより軽量化・振動低減することが進んでいます。欧米のように自動車大型部品のマグネシウム化の大きな伸びがみられない理由は、日本では安価な鉄鋼等を用いた軽量化技術がすでに開発されていたことがあげられます。しかし、座席フレームなどその他の部品についてマグネシウム合金による軽量化の余地があります。さらに、マグネシウムはリサクル性に優れていることから、環境時代を反映したエコデザインニーズに需要が牽引される可能性があります。

地球環境問題、省資源、省エネルギー問題に対応していくためにマグネシウム製自動車部品の採用増は確かな動きですが、さらなる使用拡大、普及するためには、下記のような課題を解決する必要があります。
●軽量化材料等に対して価格優位性のあるマグネシウム地金の安定供給
●高強度・耐クリープ性・耐食性に優れたマグネシウム合金の開発
●高効率かつ低コストな加工・製造技術の開発
●高効率・高品質マグネシウムリサイクル技術の開発およびリサイクルインフラ
  の整備
とくに、画期的なコストの低減が実現できれば、1台あたりのマグネシウム使用量が平均10kgになると予想され、期待されています。

 

■日本における自動車用マグネシウム部品の出荷推移予想

 

■日本におけるマグネシウム自動車部品の用途別出荷構成(2000年度推定)